■未完の恋 (宮内由香)
★まんがデーター [13/15]
・絵 :■■■■□
・話 :■■■■■
・独創性:■■■■□
・属性 : [百合] ラブコメ・片想い
・おまけ: ひとりごと(作品コメント)、合間にネタ絵
描き下ろし:「未完の恋」、「ファミリア(その後)」、「鬼丸さん(その後)」
カバー裏に別絵。
・その他: 短編×13(うち「鬼丸さんの恋」×2、「ファミリア・ファミリア」×3、
「ここは帰りた荘」×3)
本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「宮内由香(みやうち・ゆか)」センセの「未完の恋」です。
※左:「綾乃」・「しょうこちゃん」、右:「園子」・「真樹」
綺麗で見易いまとまりです。
■未完の恋 (宮内由香)
★構成・絵柄 百合ラブコメ
いきなりですが。
こちら、「未完の恋」は、いちおう百合漫画な「つぼみ」からのコミックスとなっているんですね。
ただ、収録のうち2割ほどは、普通の漫画が収録されています。
センセの熱烈なファンの方であれば、それもいいかもしれませんが…。
やっぱり百合系な単行本で、その要素がないのはどうか。
しかも、他の収録と比べ、4、5年前の原稿なので、もともとお上手な方ではあるものの、どうしても差を感じてしまいます。
蛇足だと思います。
多少薄くなったとしても、ここに収録しない方が良かったのでは。
他がもの凄く良かっただけに、残念でした。
収録位置が最後なので、また目立つんですよね。
そんな訳で、他は普通に百合漫画。
ラブコメちっくであるものの、その特徴はタイトルそのままに成就しない恋愛関係。
タブーとして描かれているため、告白することなく近しい関係を維持する~みたいな感じ。
ため、ベタベタするようなんではありません。
心理的な繋がりですわね。
一方通行でしたが。
もくじにあったように、収録話数は多い単行本。
ショート漫画がちらほらあるんですよ。
冒頭から、いかにも短編集な色合いでしたが、後半に収録された連続話はキャラの成長も描かれたものになっており。
非常に深い読み応えのある1冊になっていました。
やっぱりお上手でしたねー。
そのお話を支えているのが、しっかりとした作画です。
非常に優れたバランス感覚。
それがため、リアル調なものは無論のこと、大きく崩したコメディー絵にも違和感はありません。
こちらもお上手ですね。
濃淡はやや強め。
描き込みもしっかりしてましたが、メリハリがきちんとしていて。
白比率あり、原稿はそうゴチャゴチャしていないため。
さっぱりとしたまとまりで、見易いものでした。
ただし、前述したように後半収録の中編は明らかな落差があり。
全体の安定感としては微妙です。
ちょっと↓表紙は判断つきずらく、紹介帯のカット絵のが便利。
また、「芳文社」さんのHPでは、「夏の思い出」・「シュガー」の2話が立ち読めるので、参考には良いでしょう。
「web限定描き下ろしメッセージペーパー」も公開されてるので、オススメ。
★収録話 13話収録
003:「未完の恋」 描き下ろし・カラー原稿あり
表題作は描き下ろしでした。
↓表紙の眼鏡女子、委員長さんが登場するショートです。
お互いの切っ掛けですかね。
ぜひこの後が見たいなぁ。
007:「夏の思い出」
「綾乃」さんの回想から始まるもの。
従姉「しょうこちゃん」とのアレコレで、ほぼ完全なる一方通行。
程度の差はあっても、似たような感じは現実にもありそうですよ。
※左:「桃香」・「和佳」、右:「鬼丸さくら」・「水科晶子」
タイトルそのままなので、あまりベタベタはしておりません。
019:「胸の炎」
「瞳」・「愛子」という、親友同士のお話なんですが。
眼鏡の「愛子さん」はまったく異なる目線で彼女を見ていたのでした。
黒いですね。
オチ前の描写に、ずしーっとした重さがありましたよ。
041:「シュガー」
「園子」・「真樹」・「ノブちゃん」という、仲良し3人組みのお話。
先のエピソードの反動で、軽いものを描きたくなった、とかコメントされていました。
ただ、これも内に秘めた~という感じ。
「真樹さん」ですね。
彼女視点だと、また違ったものが見れそう。
なお、ハガキできゃらきゃらしてるのは彼女らだそうです。
051:「三年前の…」
こちらは吹き出しのないショート短編。
実際、つぼみ掲載ではない作品なんですが、登場は女の子2人。
良好な関係がよく見え、百合ちっくな仕上がりでした。
057:「キャメル」
タイトルは「和佳」の吸うタバコから。
大学生「桃香」とのお話で、彼氏と順調に交際をしている彼女を見守るような感じ。
「胸の炎」と似てますが、こちらのがやや落ち着いた風情。
タバコとうまく引っ掛けてましたよ。
069:「鬼丸さんの恋」
085:「鬼丸さんの恋 その後」 描き下ろし
「鬼丸さくら」さんがバイト先の同僚「水科晶子」さんに恋をした、というラブコメ。
実際にどこまでの関係なのか、ぼやかされてはいましたが。
「さくらさん」のキャラがため、お話は軽く、また収録ではもっともうまくいってるような感じ。
本編で物足りなかった部分が、描き下ろしにありました。
うん、続きがあるだけで全然感覚は異なると思います。
091:「ファミリア・ファミリア」
123:「ファミリア・ファミリア 希世子結婚前」
127:「ファミリア・ファミリア 5年後」 描き下ろし
年の離れた「希世」・「睦」のお話。
越してきた「希世」とは家族ぐるみの付き合い。
ひとりっ子同士であった2人は、すぐに意気投合し、姉妹のような仲良しになっていたんですが。
その「希世」は25歳で結婚したものの、ごく近くに住み。
子供「光太郎」が生まれた後も、以前のような関係が続いていたのでした。
だいたいそんな感じ。
「睦さん」が7歳、「希世さん」が16歳からの関係で。
だいたい19年後の2人まで描かれている、人生を垣間見るような漫画となっています。
表題そのまま、こちらも想いは成就せず。
「希世さん」以外の各登場人物が、微妙に片想いっぽいところがポイントでした。
メイン話は、家族と共にありつつも、唯一無関係な「睦さん」
後半の家族写真あたりのモノローグがやたらめったらに重たいです。
そうだろうなぁ。
ただ、この時にちょっと気になったのが、「希世さん」の旦那「隆士」の心情。
そしたら、続く「ファミリア・ファミリア 希世子結婚前」にちゃんと描かれてました。
やっぱりそうですよね!
いちおう(表面上では)普通に振る舞う彼のもどかしさが、たまんないですよ。
そして描き下ろしの「ファミリア・ファミリア 5年後」がまた良い。
あれはメイン話からの流れですよね。
ここは百合とはやや関係ないんですが、納得感のあるお話になっていました。
やっぱりお姉さんというのは魅力的に映るものです。
このシリーズは面白かった!
※睦さん
まぁ、美人になりましたわねぇ。
131:「泣き猫月光を浴びる」
同人誌からの収録で、こちらもつぼみ掲載ではない作品。
飼い猫との、ややファンタジーちっくなショートです。
収録ではややえっち度高め。
センセ、猫お上手ですね。
雰囲気が違うなーって思ってましたが、こちらはボールペン漫画とのこと。
コレはこれで味わいありますよ。
139:「ここは帰りた荘」 3話
こちらもつぼみ掲載ではない作品。
冒頭で指摘させてもらったのがこちらですね。
”帰りた荘”という名のアパート人間模様というお話でした。
ファミリー向け雑誌に掲載だったそうで、そうした感じ。
やはりこの単行本に掲載すべきではないと思います。
★その他
そんな訳で、「宮内由香」センセでした。
こちらでようやく4冊目ですね。
ブログでも「僕のおうちに遊びにおいで」、「青の時代」と紹介をしてます。
どっちも成年漫画ですけどね。
こちらを某書店で買うと、8ページの小冊子がついてくるんですが。
漫画ではなく、キャラ設定集なんですね。
それなら別にいいか―、って思ったりもしたんですが。
ブログ書く前にちらと見て、驚き。
よくあるラフ調なものでなく、各キャラがしっかり描かれていて。
まー、お上手でしたよー。
センセのコメントなどもかなり豊富で、予想以上に楽しめました。
オススメです。
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・絵 :■■■■□
・話 :■■■■■
・独創性:■■■■□
・属性 : [百合] ラブコメ・片想い
・おまけ: ひとりごと(作品コメント)、合間にネタ絵
描き下ろし:「未完の恋」、「ファミリア(その後)」、「鬼丸さん(その後)」
カバー裏に別絵。
・その他: 短編×13(うち「鬼丸さんの恋」×2、「ファミリア・ファミリア」×3、
「ここは帰りた荘」×3)
本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「宮内由香(みやうち・ゆか)」センセの「未完の恋」です。
※左:「綾乃」・「しょうこちゃん」、右:「園子」・「真樹」
綺麗で見易いまとまりです。
■未完の恋 (宮内由香)
★構成・絵柄 百合ラブコメ
いきなりですが。
こちら、「未完の恋」は、いちおう百合漫画な「つぼみ」からのコミックスとなっているんですね。
ただ、収録のうち2割ほどは、普通の漫画が収録されています。
センセの熱烈なファンの方であれば、それもいいかもしれませんが…。
やっぱり百合系な単行本で、その要素がないのはどうか。
しかも、他の収録と比べ、4、5年前の原稿なので、もともとお上手な方ではあるものの、どうしても差を感じてしまいます。
蛇足だと思います。
多少薄くなったとしても、ここに収録しない方が良かったのでは。
他がもの凄く良かっただけに、残念でした。
収録位置が最後なので、また目立つんですよね。
そんな訳で、他は普通に百合漫画。
ラブコメちっくであるものの、その特徴はタイトルそのままに成就しない恋愛関係。
タブーとして描かれているため、告白することなく近しい関係を維持する~みたいな感じ。
ため、ベタベタするようなんではありません。
心理的な繋がりですわね。
一方通行でしたが。
もくじにあったように、収録話数は多い単行本。
ショート漫画がちらほらあるんですよ。
冒頭から、いかにも短編集な色合いでしたが、後半に収録された連続話はキャラの成長も描かれたものになっており。
非常に深い読み応えのある1冊になっていました。
やっぱりお上手でしたねー。
そのお話を支えているのが、しっかりとした作画です。
非常に優れたバランス感覚。
それがため、リアル調なものは無論のこと、大きく崩したコメディー絵にも違和感はありません。
こちらもお上手ですね。
濃淡はやや強め。
描き込みもしっかりしてましたが、メリハリがきちんとしていて。
白比率あり、原稿はそうゴチャゴチャしていないため。
さっぱりとしたまとまりで、見易いものでした。
ただし、前述したように後半収録の中編は明らかな落差があり。
全体の安定感としては微妙です。
ちょっと↓表紙は判断つきずらく、紹介帯のカット絵のが便利。
また、「芳文社」さんのHPでは、「夏の思い出」・「シュガー」の2話が立ち読めるので、参考には良いでしょう。
「web限定描き下ろしメッセージペーパー」も公開されてるので、オススメ。
★収録話 13話収録
003:「未完の恋」 描き下ろし・カラー原稿あり
表題作は描き下ろしでした。
↓表紙の眼鏡女子、委員長さんが登場するショートです。
お互いの切っ掛けですかね。
ぜひこの後が見たいなぁ。
007:「夏の思い出」
「綾乃」さんの回想から始まるもの。
従姉「しょうこちゃん」とのアレコレで、ほぼ完全なる一方通行。
程度の差はあっても、似たような感じは現実にもありそうですよ。
※左:「桃香」・「和佳」、右:「鬼丸さくら」・「水科晶子」
タイトルそのままなので、あまりベタベタはしておりません。
019:「胸の炎」
「瞳」・「愛子」という、親友同士のお話なんですが。
眼鏡の「愛子さん」はまったく異なる目線で彼女を見ていたのでした。
黒いですね。
オチ前の描写に、ずしーっとした重さがありましたよ。
041:「シュガー」
「園子」・「真樹」・「ノブちゃん」という、仲良し3人組みのお話。
先のエピソードの反動で、軽いものを描きたくなった、とかコメントされていました。
ただ、これも内に秘めた~という感じ。
「真樹さん」ですね。
彼女視点だと、また違ったものが見れそう。
なお、ハガキできゃらきゃらしてるのは彼女らだそうです。
051:「三年前の…」
こちらは吹き出しのないショート短編。
実際、つぼみ掲載ではない作品なんですが、登場は女の子2人。
良好な関係がよく見え、百合ちっくな仕上がりでした。
057:「キャメル」
タイトルは「和佳」の吸うタバコから。
大学生「桃香」とのお話で、彼氏と順調に交際をしている彼女を見守るような感じ。
「胸の炎」と似てますが、こちらのがやや落ち着いた風情。
タバコとうまく引っ掛けてましたよ。
069:「鬼丸さんの恋」
085:「鬼丸さんの恋 その後」 描き下ろし
「鬼丸さくら」さんがバイト先の同僚「水科晶子」さんに恋をした、というラブコメ。
実際にどこまでの関係なのか、ぼやかされてはいましたが。
「さくらさん」のキャラがため、お話は軽く、また収録ではもっともうまくいってるような感じ。
本編で物足りなかった部分が、描き下ろしにありました。
うん、続きがあるだけで全然感覚は異なると思います。
091:「ファミリア・ファミリア」
123:「ファミリア・ファミリア 希世子結婚前」
127:「ファミリア・ファミリア 5年後」 描き下ろし
年の離れた「希世」・「睦」のお話。
越してきた「希世」とは家族ぐるみの付き合い。
ひとりっ子同士であった2人は、すぐに意気投合し、姉妹のような仲良しになっていたんですが。
その「希世」は25歳で結婚したものの、ごく近くに住み。
子供「光太郎」が生まれた後も、以前のような関係が続いていたのでした。
だいたいそんな感じ。
「睦さん」が7歳、「希世さん」が16歳からの関係で。
だいたい19年後の2人まで描かれている、人生を垣間見るような漫画となっています。
表題そのまま、こちらも想いは成就せず。
「希世さん」以外の各登場人物が、微妙に片想いっぽいところがポイントでした。
メイン話は、家族と共にありつつも、唯一無関係な「睦さん」
後半の家族写真あたりのモノローグがやたらめったらに重たいです。
そうだろうなぁ。
ただ、この時にちょっと気になったのが、「希世さん」の旦那「隆士」の心情。
そしたら、続く「ファミリア・ファミリア 希世子結婚前」にちゃんと描かれてました。
やっぱりそうですよね!
いちおう(表面上では)普通に振る舞う彼のもどかしさが、たまんないですよ。
そして描き下ろしの「ファミリア・ファミリア 5年後」がまた良い。
あれはメイン話からの流れですよね。
ここは百合とはやや関係ないんですが、納得感のあるお話になっていました。
やっぱりお姉さんというのは魅力的に映るものです。
このシリーズは面白かった!
※睦さん
まぁ、美人になりましたわねぇ。
131:「泣き猫月光を浴びる」
同人誌からの収録で、こちらもつぼみ掲載ではない作品。
飼い猫との、ややファンタジーちっくなショートです。
収録ではややえっち度高め。
センセ、猫お上手ですね。
雰囲気が違うなーって思ってましたが、こちらはボールペン漫画とのこと。
コレはこれで味わいありますよ。
139:「ここは帰りた荘」 3話
こちらもつぼみ掲載ではない作品。
冒頭で指摘させてもらったのがこちらですね。
”帰りた荘”という名のアパート人間模様というお話でした。
ファミリー向け雑誌に掲載だったそうで、そうした感じ。
やはりこの単行本に掲載すべきではないと思います。
★その他
そんな訳で、「宮内由香」センセでした。
こちらでようやく4冊目ですね。
ブログでも「僕のおうちに遊びにおいで」、「青の時代」と紹介をしてます。
どっちも成年漫画ですけどね。
こちらを某書店で買うと、8ページの小冊子がついてくるんですが。
漫画ではなく、キャラ設定集なんですね。
それなら別にいいか―、って思ったりもしたんですが。
ブログ書く前にちらと見て、驚き。
よくあるラフ調なものでなく、各キャラがしっかり描かれていて。
まー、お上手でしたよー。
センセのコメントなどもかなり豊富で、予想以上に楽しめました。
オススメです。
未完の恋 (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ) (2012/06/12) 宮内 由香 商品詳細を見る |
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