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■ひよこのたまご (裏次郎)

★まんがデーター [10/15]
・絵   :■■■□□
・話   :■■■□□
・独創性:■■■■□
・属性 : 成年・ロリ
・おまけ: あとがき・作品解説、カバー裏に別絵・4コマ、
      折り返しに4コマ、ゲストページ、
      描き下ろし「はらませ!兄・今更…」
・その他: カラー(4P)、短編×10(うち「はらませ!」×5)、
      初単行本。
      
本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「裏次郎(うらじろう)」センセの「ひよこのたまご」です。

そうなんですよ、帯イラストってーのは基本別の方が描いているんですよね。
…紛らわしいなぁ。

たかみちセンセ「志津子ちゃん」.jpg
※ちなみに、これが「たかみち」センセの「志津子ちゃん」
 間違えないように。

こちらは↓表紙・裏表紙で「合わないかなー」とか思いながら、帯イラストにあった「たかみち」センセの絵を勘違いして買ってしまいました。
ああ、おばかさん。
皆さんはくれぐれも気をつけて下さいね(笑)

そんなこんなで、「裏次郎」センセの初単行本「ひよこのたまご」です。
表紙などを飾る「志津子」ちゃんの連続話「はらませ!」シリーズをメインとした作品集です。
掲載誌そのまま全編ロリな漫画でして、単行本中の短編「おしかけ!」が特に古い作品で、絵柄が明らかに違っておりました。

新旧比較.jpg
※左:お母さんの「民子さん」、右:コインランドリーの「チコちゃん」です。
 新旧比較です。偶然似たようなポーズを選んでおりました。

なかなか良いアイデアだった「コインランドリー」
もらした「チコちゃん」は濡れた服をどうにかするため、帰る途中でコインランドリーに立ち寄るのでした。
…単純にそんなお話。
このくらい(←どのくらい?)の年齢なら、案外丸出しなままでも平気そうな気もしますが…。
ほら、こないだの「タカハシマコ」センセの漫画でもあったシチュエーションみたいに。
こちらの「チコちゃん」は行き当たりばったりな行動のわりに、モロに”恥ずかしい”という態度をとってしまうんですね。
誰かに見られたらと思うと恥ずかしくて死んじゃいそう
精神的にはませているのか、そんな台詞もありました。
もし、そんなんなければ、逆にえっち展開にはならなかったでしょう。
また、普通の成年漫画なら、出会った直後から即えっちに至りそうなところですが、ロリ系だけあってじわじわ攻めているのがポイントでした。
ラストページの「チコちゃん」がやたら色っぽく描かれているのが強く印象に残った良作です。

単行本ではほとんど出ずっぱりだった、「志津子ちゃん」の中編「はらませ!」
妹「志津子ちゃん」に手をつけ、家から追い出され兄。
それを追ってアパートまで辿り着いたラブラブな「志津子ちゃん」は、子供を作る既成事実で強引に認めさせようとするのでした。
だいたいそんなん。

まぁ、タイトルそのまんまな内容なんですが、ものスゴイお話。
妊娠ネタは好んで使う方(?)もありますが、普通の成年漫画ではどちらかと言うとあまり触れない点。
それをロリ系でやってしまう「裏次郎」センセはある意味えろい。…で、すごい。
目的がそれ↑なので、多少日常シーンがあるものの、全編はえっち展開。
縦笛とかプルマとか、そんなんも登場しております。
服装は置いといて、縦笛ってーのはなんだかやたらマニアック(笑)
好きな方は喜んで下さい。
番外編では、なぜ「志津子ちゃん」があんな喋り方なのか、なぜツインテールなのか、が判明する興味深い内容。
こちらの存在で、物語がしっかりしたように思いました。

志津子ちゃん.jpg
※まだランドセルの「志津子ちゃん」です。
 この娘の独特な喋り方も好き嫌いあるでしょうねぇ。

スッキリとした細線で、トーン処理がきっちり、全体は洗練された今風な絵柄。
やや濃い目ながら、見やすい絵でした。
広く丸い輪郭が特徴です。
↑上でも書いたように、初単行本らしく古い漫画も収録されております。
後半2話がそれね。
なお、他の漫画はおおむね安定していました。

とりあえずジャンルから絵まで人を選ぶもの。
独特でなかなか見ないタイプな漫画なので、あちこち問題なければいいと思います。
ひでるさんとしては…ごめんなさい、ちょっと駄目。

ひよこのたまご (TENMAコミックス LO)ひよこのたまご (TENMAコミックス LO)
(2007/04/25)
裏次郎; 裏 次郎裏 次郎

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tag : ツインテール

■浮世艶草子 (八月薫)

★まんがデーター [13/15]
・絵   :■■■■□
・話   :■■■■□
・独創性:■■■■■
・属性 : 江戸時代・性風俗
・おまけ: あとがき、篁千夏解説(4P)、
      帯下がリンク絵。
・その他: 原作「篁千夏」、短編×8、
       現在1巻まで発売中。
      
本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「八月薫(はづき・かおる)」センセの「浮世艶草子 1巻」です。

実は発売前から密かにチェックしておりました、こちらの単行本。
表紙を見る機会がありまして、妙に惹かれました。
いや、「八月薫」センセの絵は和服とよく似合うなーって具合に。
前に紹介しました「女子アナ七瀬」はひでる的に失敗だったんですけれど、こちらは結果的に予想以上の出来栄えでした。
いいぞ・いいぞ!!

こちらは、タイトルそのまま江戸時代の性生活を描いた単行本。
それぞれ「介添女」「不開間」「水揚げ」…など、当時はお馴染み(?)、今では聞きなれないキーワードにそったえっちエピソードが展開されるオムニバス短編集です。

浮世艶草子サンプル絵.jpg
※「浮世艶草子」サンプル絵、です。
 こんな同心も登場します。しかし…右の女性は色っぽいですねー。

投稿話での短編「本当にあったHな体験教えます」など、キャラの魅力に頼らない漫画が得意なだけあって、各話独立したこちらでも本領発揮。
冒頭からの掴み、展開、オチという流れに無理がなく、江戸時代という特異な設定でありながら自然に読める漫画です。
気楽な、いい加減な部分を含んだ時代モノ漫画であればいくつか想像できますが、ここまでしっかりとしたものは希少。
あちこちに詳細な解説がつき、単純に読み物としても楽しい構成。
(※逆に、文字・説明が多いところがマイナス点にはなるでしょうが)
特にひでるさんは「必殺シリーズ」で時代劇に慣れ親しんでおりまして、そういう意味でも興味深い内容。
劇中で合致するシーンなどもありましたね。
詳細な内容に触れてしまうと面白味が半減するのでここに書きませんが、お姫様から庶民の女性までが登場する、時代劇ファンにはクリティカルヒットな内容でした。
特にキチンとした時代劇漫画はいかにも「劇画」っぽく、やや手を出しずらい雰囲気が…ないですか?ちがうかな?
そのため、えっちを題材にしたこうした単行本はいいと思います。
ただ、えっちシーンはそれなりですんで、あまり期待し過ぎないよう注意。

浮世艶草子サンプル絵その2.jpg
※「浮世艶草子」サンプル絵、その2です。
 武家のお姫様、お輿入れの話もあります。戦国時代ファンも必見です!

黒が強い濃い線で、しっかり落ち着いた作画です。
過去にはややクドいところもありましたが、最近はかなり洗練されて見やすくなっております。
写実的で、たっぷりすらりとした艶のある人物絵。
癖もあるので好き嫌いが分かれるでしょうけれど、今回は特に舞台設定と合致してイイ感じでした。
とりあえず、↓表紙・裏表紙で問題なければいいでしょう。

リアルタッチな絵柄でありながら、漫画っぽい可愛さを失わない女性を描くことのできる「八月薫」センセ。
とりあえず2巻に続くようなので、時代劇ファンの方、江戸時代の生活が気になる方には特にオススメです。

浮世艶草紙 (1)浮世艶草紙 (1)
(2007/05/24)
八月 薫篁 千夏

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※サンプル見れるかもしれないので…
 ⇒ リイド社HP

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tag : 江戸時代戦国時代時代劇ファン

■こいのいろ (カイシンシ)

★まんがデーター [11/15]
・絵   :■■■■□
・話   :■■■■□
・独創性:■■■□□
・属性 : 成年・ラブコメ
・おまけ: あとがき・作品解説、
      カバー裏にカラー別絵・コメント。
      (※表紙絵とリンク)
・その他: カラー(5P)、短編×9
      (うち「はじめて大作戦」×3)
      
本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「カイシンシ」センセの「こいのいろ」です。

こちらは、もともと購入予定だった2冊(※土日紹介)の次に、なんとなく手に取った単行本です。
パワーアップしたの!好きって気持ち!!
そんな帯からラブコメ漫画と思いましたが…これがなかなかクセ者揃いで驚きました。
「カイシンシ」センセの漫画はこれが初見ですが、ちょっと注目すべき漫画家さんかもしれませんよ。

こちら、「こいのいろ」はひとつ連続話を加えた短編集です。
絵柄・帯文句そのままな漫画も多く、表紙買いをした人の期待を裏切らない単行本となっておりました……が。

可奈美ちゃんレベルアップ.jpg
※可奈美ちゃんレベルアップの図。
 良くも悪くもこの純粋さがスゴイです。そして…。

表紙からおまけのカバー裏カラー絵、中扉・あとがき、と単行本に出ずっぱりな「可奈美」ちゃん。
活躍する連続話がタイトルもはじけた「はじめて大作戦」です。
主人公「可奈美ちゃん」は思春期を迎え、距離を取るようになった「桐彦」くんこと「きーくん」の態度が気に入りません。
そこで、お母さんの提案を取り入れ、積極策に出るのでした。
ごく簡単ですが、そんなお話。

うっはー、「可奈美ちゃん」はいくつなんだろ。
リボンとツインテールのやたら似合うロリ娘なんですが、冒頭1コマ目から不満たらたらなの。
もう~~今日はおフロ入ってくれない~~
…だって。
タイトルそのまま、「きーくん」に対して自分の気持ちをぶつけるという、やたら積極的な「可奈美ちゃん」のえっち話。
当人が言っているように、だんだん行動がエスカレート(※レベルアップらしい)していきますが、実は彼女を裏で操っているお母さんの存在が大変面白いです。
話としては単純なラブコメえっち漫画なんですが、本単行本を象徴するような明るく楽しい雰囲気でした。
残念ながら、「きーくん」はこの母子から逃げることできなさそうですね(笑)
ひでるさんとしては、くすくす笑うお母さんのお話も見てみたかったですよ。

そしてお母さん.jpg
※ひでるお気に入り、「可奈美ちゃん」のお母さん。
 若いですねー。できればこの方との続編を希望(笑)

「カイシンシ」センセ曰く”ヤンデレの挑戦”という、「あなただけ」
…いつの間にかそんな造語があるんですね。
前にひでるさん間違った「School Days」を調べていて知りました。(⇒正:「School Days」)
えっと、やや病的な愛情表現するキャラクターのこと、ですよね。
そんな訳で、こちらのお話は毛色が違っており、
ハジメくんの為なら……なんでもできるよ
というヒロイン「乙恵」さんの言葉が重く、ラブえっち話にちょっとした彩りを加えておりました。
成年漫画ではなくなってしまいますが、できればこの続きが見たかった(笑)
上の「可奈美ちゃん」とは違った意味で、もう逃げることができなさそうです。
あ…でも表面明るいだけで、怒った「可奈美ちゃん」もとんでもないことしそうですね。

ついでにもうひとつ、最後の笑みがちょっと恐い「すきいみ」
「伊乃」さんのお兄ちゃん「裕貴」くんに恋をした「ほなか」さん。
その想いを打ち明けると、「伊乃さん」は快く間を取り持つことを承諾してくれたのですが…。
大まかにはそんな流れ。
色々細かい説明はありませんけれど、たっぷり裏を感じさせられる構成。
先の「乙恵さん」の漫画と同様に、まだこの場は収まっていますが、この後涙か、あるいは血を見そうです。
やっぱりこの続きが見たいですねー。
ラストの、「伊乃さん」の口元をアップにしたコマはぞくぞくっとする恐さがありました。
単純に「恋人になれた」と口にしている「ほなかさん」はどうなってしまうのでしょう!?

以上、全体的に女の子が積極的な漫画で、基本として男の子は受け身でした。
明暗どちらのエピソードもありますが、そんな理由と崩壊シーンを描かなかったことで、読みやすい単行本に仕上がっておりました。

こいのいろ比較画像.jpg
※左:古め絵柄の「里裕さん」、右:「伊乃さん・ほなかさん」です。
ちょっと違うでしょ?そんな訳で比較絵を用意してみました。
 
すっきり正確に引かれた線での、可愛らしい絵柄です。
目が大きく、輪郭も広いロリっぽい人物絵が特徴。
(※貧乳なだけで、極端なロリ娘が登場するのではありません)
全体的に安定しておりますが、1話だけ時期の古い漫画がありました。
この頃はだいぶすらりとした人物絵だったんですね。
雰囲気は違いますが、そちらも下手ではないので問題ないと思います。
判断は基本的に↓表紙での判断で大丈夫でしょう。

桃色な雰囲気に包まれたスタンダードなラブコメもいいですが、紹介した2話のようにちょっと含みをもたせた漫画もなかなかイイ感じ。
これで修羅場まできっちり描ければ、一般漫画へ行ってしまった「ぢたま某」センセに近い漫画家さんかもしれません。
次はぜひ中編・長編を読みたいですね!!

こいのいろ.jpg

こいのいろ / カイシンシ

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tag : ツインテールラブコメヤンデレ

■かしまし~ガール・ミーツ・ガール5巻[完結](桂遊生丸)

★まんがデーター [13/15]
・絵   :■■■■■
・話   :■■■■□
・独創性:■■■■□
・属性 : ラブコメ・百合
・おまけ: 巻末に特別編。
・その他: 原作「あかほりさとる」、全5巻。
      
本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「桂遊生丸(かつらゆきまる)」センセの「かしまし~ガール・ミーツ・ガール~5巻[完結]」です。

TVアニメになったり、またその終わり方が中途半端だったりと、すっかり有名になった本作品。
ついに終わっちゃいましたねー。
お話的にダラダラ続けても仕方ないとは分かっておりますが、ちょっと残念。

主人公「大佛はずむ」は幼馴染み「来栖とまり」らにおされ、仲の良いクラスメイト「神泉やす菜」に告白するものの拒否されてしまいます。
傷心の「はずむ」はその悲しみを癒すため、近所の鹿縞山へ行きますが、そこで宇宙船と激突。
絶命してしまうのです。
宇宙人は「はずむ」を蘇生させますが、その際に性別を誤り、女の子にしてしまうのでした。
こうして女性としての生活が始まりますが、何故か拒否したはずの「やす菜」が逆に告白。
それに刺激され、「とまり」も自分の心に気付くのでした…。
だいたいこんなん、ですよね。

かしましシーン.jpg
※シリアスなシーンが多い本作品です。

簡単には、主人公を挟んだ三角関係ラブコメです。
それぞれキャラクターの細かく丁寧な心理描写が巧みで、性転換や宇宙人というファンタジー要素があっても、しっかりとしたブレないストーリーが展開されています。
いい話ですよね。
最終的にはどちらが選ばれるのか、女性となった「はずむくん」はどうなってしまうのか。
そう、この女性となった「はずむくん」がポイントだと思うのですよ。

キャラとしては、女の子がずらっと並んでいた方が傍目には見栄えいいですよね。
数多くあるギャルゲーの登場人物が、主人公以外はほとんど女性だったりするじゃーないですか。
極端には、「同級生」シリーズみたいに、男の顔がはっきり描かれていないのまであるくらいですし。

そこで、いっそのこと主役を、メイン全てを女の子としてしまう手段が考えられるのです。
こないだまでTVでやっていた「乙女はお姉さまに恋してる」もそうですが、恋愛ドラマを(特に男性視点的に)見栄え良くすること。
(※これがため、単行本表紙の中心を全て「はずむくん」にできている)
恋愛感情はあっても同性であるため、なかなか一人に絞れない、お互い手を出せない、しっかりとした理由付けがされること。
また逆に、見栄えは女性ですが本来は男性であるため、そういった感情が生まれても変ではないこと。

ほら、最近は百合姫コミックスなんてジャンルがあるではないですか。
実際のそういった同性恋愛ってのは、男女ともある程度肯定していなければ受け入れ難いもの。
こないだの「春夏秋冬/蔵王大志」みたいに、やたらリアルなのを見せつけられても、普通の人はなかなかついていけないものでしょう。
そこで、「性」を曖昧にする手段をとることで、ややこしい事柄を棚上げすることができるのですよ。

…と、ざーっと思いつくまま説明してきましたが、この「かしまし~ガール・ミーツ・ガール~」も、要するに見栄えのいい恋愛漫画なのではないか、ということ。
だから、突然女性になった「はずむくん」の動じる描写が少なかったのだと考えました。
もともと女の子っぽい性格だったのも確かにあるのだけれど、普通はあそこまで自然にはできないでしょう。
これがえっちっぽく進めば「DISTANCE」センセの出番なんですが(笑)

あああ、だいぶ長くなってしまいましたが、ここから核心部分について。
ネタバレ全開なので、一応隠しておきます。
↓既に単行本読んだ方だけ、ご覧下さいませ。

やっぱり昔から身近にいた”幼馴染み”という存在は強い。
また、今回の一件で「とまりちゃん」の表面と内面のギャップを見せ付けられていたから、元男の子の「はずむくん」としてはやっぱり傍にいてあげなければ、って思うのでしょう。
「やす菜ちゃん」のがぜんぜんしっかりしてますね。
感情を爆発させることも「とまりちゃん」のが圧倒的に回数多いですし。
最後の金網が外れて落ちるシーンですが、それに間に合った…手を繋げたのは基礎身体能力の高さゆえかなーって思いました。
もし最後の言葉が逆だったなら、「はずむくん」予定通り死んでたかも(笑)
そう、死ぬといえば、”二人とも転落死”説を考えたひでるさん。
落ちた後に葬儀参列のシーンとかあったので、もしかしたら、実際は二人(あるいは三人かも)で落ちて、即死だったのでは?
その後は単なる都合の良い、こうなればいいな的な回想だったりして。
…なーんて、別にここまで暗い話にする必要はないでしょうけどね。
そんなことをうっすら考えてしまうひでるさんは結構疲れ気味なのかも。

はずむくん.jpg

…以上。
ラストは曖昧に流すこともできたでしょうが、しっかり選ばせたのはエライ。
そんなこんなで、ラブからコメディーまで、ひでるさん好きな系統で楽しめました。
今回5巻巻末の特別編「ひみつのアユキちゃん」は冒頭シーンの”絵柄そっくり合わせ、でも微妙に周囲がだんだんやつれていく”という表現が最高でした。
こんなんもスキなのよ。

柔らかく丁寧な線の優しい絵柄。
頬のあたりのふっくら加減と、そら豆のようなぽかんと空いた口が特徴。
1巻はやや黒が強く、バランスなども不安定さがありましたが、3巻あたりからすっきりしてきました。
ただ、見られないほどではないので、あまり気にしなくて良いと思います。

とかく残念なのは、これで終わってしまうことですねー。
先の「AIR」も原作つきでシリアスなものでしたから、過去にこちらでも紹介しました「ゆきまるパック100%」にあったような、「桂遊生丸」センセオリジナルの漫画をゆっくり見たいですよ。

かしまし5.jpg

かしまし~ガール・ミーツ・ガール 5 (5) / あかほり さとる

かしまし~ガール・ミーツ・ガール 4 (4) (電撃コミックス)かしまし~ガール・ミーツ・ガール 4 (4) (電撃コミックス)
(2006/10/27)
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かしまし~ガール・ミーツ・ガール 3 (3)    電撃コミックスかしまし~ガール・ミーツ・ガール 3 (3) 電撃コミックス
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tag : 三角関係ラブコメコメディーファンタジー百合姫コミックス

■しちゃう? (DISTANCE)

★まんがデーター [13/15]
・絵   :■■■■■
・話   :■■■■■
・独創性:■■■□□
・属性 : 成年・巨乳
・おまけ: 
・その他: 短編×6。
      
本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「DISTANCE」センセの「しちゃう?」です。

どちらの単行本もおまけっぽい要素が少ない「DISTANCE」センセ。
最新刊のこちら「しちゃう?」でも、おまけ要素どころかカラーページでさえ中扉・その裏という2ページだけでした。
漫画がしっかりしているので余分な要素は確かに必要ないのでしょうけれど、ちょっと寂しいですね。

そんなこんなで「DISTANCE」センセです。
成年系ながらしっかりとしたストーリー作りのできる方でして、以前こちらのブログでは連載の長編漫画「堕ちる天使」を紹介させて頂きました。
今回は表題「しちゃう?」と似たような言葉たちから連想されるシチュエーションをまとめた短編集となっております。

真亜子ちゃん.jpg
※真亜子ちゃんの前後です。
 過去には「堅い枕でないと眠れない」とか、枕代わりにされておりましたが…。

冒頭の「しちゃった!?」は急激に胸が大きくなった女の子の、成年系でよくありがちな漫画。
貧乳で女の子っぽさに欠ける「真亜子」ちゃんは、男子とも普通の同性友人のように接する気さくな女の子。
しかし、夏休みの二ヶ月間が過ぎると、急激な成長を遂げて立派な巨乳となっていたのでした。
(※折り返しのイラストによると、AカップがKカップになった様子。スゴイ!)
簡単にはそんなお話。
こうした、変化ネタってーのはセンセ得意の性転換ではないですが、当人・および周囲の微妙な心理変化とか、さすがに「DISTANCE」センセは巧いですね。
多少卑猥な言葉を投げかけられても、”女として見られていることで純粋に嬉しく感じてしまう”ヒロイン「真亜子ちゃん」
なんだかそのあたりの描写はやたら説得力ありました。
なにしろ、前半はえっち関係なく、顔を普通に押し付けられたりしてましたからね。
そりゃー女としてのプライドも傷ついていたことでしょう。
(※でも、「カズくん」は単に友人という関係をぶち壊す切っ掛けがなかっただけで、大きさ関係なかったでしょう)
全体の流れとしてはこうした漫画の王道展開で、結局は誰も不幸になることなく、すっきり丸く収まっておりました。
爆乳後の「真亜子ちゃん」がやたらめったら可愛らしく描かれているところがポイントです。

姉弟という「しちゃうおう!!」は今回単行本収録で最もお気に入り。
会社でトラブルを起こした姉は突然寮をひきはらい、弟「シン」ちゃんのアパートへ転がり込んできました。
過去の出来事からこの姉を避けるようにしていた「シンちゃん」は、姉弟の同居生活にまったく慣れないのです。
だいたいそんなお話。
最初から最後まで、細かい点まで正確に描かれた良作。
言ってしまえば単なる近親ネタなんですが、過去の”寸止めされて冷静さを取り戻してしまったこと”から、それが自分自身大きなでトラウマとなっている弟「シンちゃん」のキャラが秀逸。
成長して極端に潔癖となっており、ずっと彼女もいないという、単純でない設定が物語に深みを持たせておりました。
あの時もこういう風にしたかったんだね
それだけに、もう一方のお姉ちゃんの広い心と母性にはなんだか感動。
ここでは書きませんが、ラストの2ページも実にいい終わり方でした。
扉閉めた後のああいった心理はよく分かるなぁ、って。
また、それを見越しているお姉ちゃんも何気にスゴイ。

話数としては6話と少な目(※各話のページ数は多いのでご安心下さい)ですが、どちらもしっかりとしたストーリーと濃いえっち描写で、横綱相撲みたいな単行本でした。
余談ですが、「したくて。」のヒロイン「智ちゃん」ですが、髪型とか着ている服装とか性格とか、「あずまんが大王」の同名キャラみたいでした。
…こんなんはひでるさんだけですかね?
どちらも読まれている方なら、そうした視点で読むと二度楽しめるかもしれません。
また、ラストの短編「部長と3匹の仔ブタ」に登場する「部長さん」ってーのは、いつもの「部長さん」ですよね?
よく覚えてないんですが、性格とか髪型とか、たぶん合致していたと思います。
手元に全巻ないので確認できませんが、昔からのファンも納得な仕様でした。

智ちゃんと部長さん.jpg
※左:「智ちゃん」、右:「部長さん」です。
 プールに来て早々のコマですが、「智ちゃん」早々に迷惑かけてます。

乱れない太線でのくっきり絵柄。
お姉さん系列のキャラは胸が大きく肉感的で、普通の立ち絵からしてえっちなんが特徴です。
細かな心理の動き、コメディーからシリアスまで対応できる、確かな画力のある稀有な漫画家さんだと思います。
また、えっち描写も基本線から脱線しない程度の濃さで、初心者からベテランまで幅広く(?)楽しめるでしょう。
ちょっと癖も強い方なんですけどね。
なんだか「RAYMON」センセちっくな↓表紙が気になる方いるかもしれませんが、白黒絵のがバランス良く、見やすい雰囲気です。
いくらかプラスで考えて問題ないです。

作画の安定感は抜群で、成年漫画家の中でも「DISTANCE」センセは段違いな実力者。
ふらっと一般誌へ流れないところも素敵です。
とりあえず”買って間違いない系統”の漫画家さんなので、絵柄に違和感無ければ是非お試し下さいませ。

しちゃう?.jpg

しちゃう? / DISTANCE

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genre : アニメ・コミック

tag : トラウマコメディー

■初犬2 (犬)

★まんがデーター [8/15]
・絵   :■■■□□
・話   :■■□□□
・独創性:■■■□□
・属性 : 成年・三角関係
・おまけ: あとがき、ゲストページ、
      おまけ漫画「ある日の三田さん」
・その他: カラー(8P)、前巻からの続編、
      全て「ストレンジ・カインド オブ ウーマン」シリーズ。
      
本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「犬(いぬ)」センセの「初犬2」です。

電車の二人.jpg
※初犬2・ヒロインズです。

とりあえず、帯を見てびっくり。
収録の「ストレンジ・カインド オブ ウーマン」はいつの間にかOVAになっていたんですね。(↓下)
すごい・すごい!!
発売「ピンクパイナップル」さんのHPにはサンプルがあったので確認しましたが、結構がんばっているみたい。
(※人によって受け取り方は違うでしょうけれど、平均点は超えてるように見えましたよ)
どうやら今回単行本と発売日を合わせたらしいので、ファンの方はそちらもぜひどうぞ。
DVD第2巻の発売も決定しており、7月発売なんだそうな。
メーカーさん的には「イケる!」という見込みなようですね。

そんなこんなで、ついに発売されました「初犬2」です。
あちこち特定書店では、ブックカバーやイラストカードなど、それぞれ違った特典がついているようなので、これから買われる方はネットで確認するのが良いかもしれません。
…ちなみに、ひでるさんは小冊子のものを手に入れました。やっぱり漫画ですしね。

特典画像.jpg
※ちなみにこんなん。

えっちな内容ではありませんでしたが、コスプレしてたりしてなかなか楽しかったです。
お話もちゃんと単行本から続くようになっておりました。

さて、今回の「初犬2」はOVAが出るほど人気な「ストレンジ・カインド オブ ウーマン」だけの構成でした。
内容が単独なのにタイトルが連番となっているのは大人の事情とかなんとか。
前の「初犬」に収録された3話は同キャラのブツ切り短編でしたが、こちらはすっかりストーリー仕立てな漫画となっております。

主人公「深谷」くんは同クラスの美少女「藤乃紫音」さんと、ふとした切っ掛けから付き合うようになっていました。
この「紫音さん」は無口・無表情な変人として知られ、また無類のアイテム好きであるという、えっちな娘。
分かりづらい反応と微妙な愛情表現に悩みつつも、それなりに順調であった二人の前に、休学から復帰した「三田」さんが登場。
その暗躍によって、二人の身には色々とトラブルが起こるようになるのでした。
…ごく簡単ですが、そんなお話の流れ。

レギュラーの新キャラとして、眼鏡の「三田さん」、保健室の先生が登場して、だいぶ華やかになりました。
こちらの「三田さん」は安定しかかった二人の関係に波紋を投げかけるトラブルメーカーで、過去に毒殺されかけ、トラウマとなっていた「深谷くん」としては単なる悪しき存在。
だから、いくら無理やりにえっちしても、ライバルにはなり得ないのです。
そんな意味では、途中の急展開(※ネタバレになるのでフセました)は必然なのでしょう。

藤乃紫音・三田さん.jpg
※左:「藤乃紫音さん」、右:「三田さん」です。
 しっかりパンチラしている「紫音さん」です。いいですね。

…でもね。
無口・無表情という、変わった特徴が魅力の「紫音さん」では、正直連続ストーリーのヒロインとしては厳しい感じがしました。
ここで思い出すのが「的良みらん」センセ。
脇キャラを大変魅力的に描かれるので有名な方ですが、「ぽれーぬ」とか「リリンさん」とか、いくら人気あったとしても”メインにはなりえないキャラクター”、っていると思うんです。

この「紫音さん」も同じこと。
今回単行本での「紫音さん」は押しが強いタイプの「三田さん」に対抗するためか余裕なく、「深谷くん」を取り合う普通の女の子に成り下がっているように見えました。
感情をあらわにするくだりも、もっと精神的にぎりぎりまで、どうしようもないくらいに追い込んでからのが良かったように思いますが…成年漫画では難しいですかね(笑)
単純に喋らないだけみたいで、ひでるさん的にはややがっかり。
どうせ続けるのであれば、多少ワンパターンでも色々なシチュエーションでえっちしたりする、ブツ切り短編のが良かったかなぁ。
「紫音さん」がアイテム愛でるシーンもなかったですし…。

ごめんなさい。
前回があまりに良かったので、ちょっと厳しい意見になってしまったかもしれません。
単独に考えれば、タイプの違うWヒロインとの可愛くもえっちな良作でした。
ちょっとツリ目な「紫音さん」はやっぱり独特なヒロインで、他では見られない魅力に溢れていることは事実でしょう。
ただ、仮にも続編な単行本ですから、ゲストページを減らしてでも簡単なあらすじを載せるとか、あるいはキャラ紹介くらいあっていいものだと思いました。
宣伝兼ねてもいいから前書きとかでも。

前単行本に比べ、描き慣れたらしくキャラは安定。
しっかりとした濃い線で濃淡バランスの良い作画です。
ただ、若干バランスが悪かったり、やや大雑把なところはこちらでも感じました。
基本的にカラーで掴めますので、↓表紙で判断して問題ありません。

ちなみに、こちらは完結していなかったので、まだまだ続くようです。
一癖ありそな新キャラもラストで顔を見せておりましたし、これからどう展開するのか、楽しみに次巻を待ちましょう。

初犬2.jpg

初犬 2 (2) / 犬

※こっちがDVDです。
初犬(1) Act.1「ストレンジ カインド オブ ウーマン#1」初犬(1) Act.1「ストレンジ カインド オブ ウーマン#1」
(2007/05/25)
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■水色ノート (タカハシマコ)

★まんがデーター [12/15]
・絵   :■■■□□
・話   :■■■■□
・独創性:■■■■■
・属性 : ラブコメ・ちょっとえっち
・おまけ: 描き下ろし「あとがきまんが」
・その他: 短編×15(うち「ココアシガレット」×3)

本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「タカハシマコ」センセの「水色ノート」です。

6月18日に最新刊「乙女ケーキ(仮)」が予定している「タカハシマコ」センセ。
そちらは「百合姫コミックス」ということなんで、これまた楽しみですね。

そんな訳で、今回紹介の「水色ノート」は前に発売された、短編を収録した単行本です。
先日書店うろうろしていて、偶然見つけました。
見慣れた書店でも、たまにはゆっくりうろついてみるものですね。
(※でも初版でした。らっきー)

ちどりさんと日焼けの女の子.jpg
※上:「ちどりさん」、下:日焼けの女の子、です。
 実に良い焼けっぷりです。…凝視しないように(笑)

単行本で唯一の連続話「ココアシガレット」
こちらはサブタイトルにもなっている「つぐみ」、「ちどり」、「うずら」という三人のラブコメ話です。
若干だけ繋がっている部分もありますが、基本的には同世界でのオムニバスでした。
憧れのコーチとのデートを控え、着る服に迷う「つぐみちゃん」
異性として好きになってしまったニブイ兄に対して、色々想い悩む「ちどりさん」
妹にべたべたな「鳩山先生」に恋をする「うずらさん」
…という、非常に個性的な男女各キャラの恋愛模様が楽しく描かれております。
なお、それぞれの話には別エピソードのキャラたちがゲストとして絡む、ひでるさん好きな形式なのですよ。
特に、どちらの話でもラストを担当している、ちょっと斜に構えたような「ちどりさん」が実に良いキャラ。
1話目「つぐみちゃん」のエピソードにて、店員ながら変な対応だった理由は2話目の主役回にてキチンと説明されておりました。
常連客である「うずらさん」に対しての辛辣な台詞が素敵です。
この娘さんでもう1話描いてほしかったですね。

もっともフェチっぽい「しましま」
くっきりとした日焼け跡で、下着だと思ったら実は…という、「タカハシマコ」センセの実体験を基にした短編。
この島じゃ普通よ。何気にしてんのよ
平然とそんなことを言っていた女の子が、急に恥ずかしくなる描写が巧い。
いいシチュエーションです。
直接ではないですが、間接的にえっちですよね。

もう一つ、「りり」ちゃんの持っていたのぼりの文句、”ワンコイン500円”が妙に面白い「妹屋」
キツネの「りりちゃん」は人間の妹に化け、擬似妹を演じることでお金を稼いでいたのでした。
…だいたいそんなお話。
スカートで、だらしなく座っている指摘を受けた「りりちゃん」の返し。
平気よースパッツはいてるもん
いや、それのが好きな人もいるので、油断しちゃーだめですよ(笑)
妹に化けている「りりちゃん」には実際に妹がおり、本来はお姉ちゃんである、という設定を活かした話が見事で、途中はちょっとイイ話ちっくに流れておりました。
そんなん踏まえた上でのオチも良かったです。
確かにあの尻尾は触ってみたいですよね。
(※「いぬかみっ!/松沢まり」の「ようこ」みたいで)

鶴と狐.jpg
※単行本での人外、鶴と狐です。
 おでんをがつがつと食べる「鶴」がやったら可愛いです。

以上、ほんわかしたコメディーだけでなく、「となりのばんごはん」、「明日の情操教育」など、何気にブラック系な短編もありました。
可愛らしい絵に似合わず、お話はラブコメからちょっと猟奇的なものまで、どちらも結構厳しいトコロを突いた良作揃い。
流れ、オチが読みづらい、稀有な漫画だと思います。

やわらかい細線の優しい絵柄。
丸くぼやかしたような黒の目と頬の表現が特徴で、全体的に白め。
登場する女の子は細いロリ体系で、個性が際立つ独特なタッチなどを含めて人を選ぶでしょう。
↓表紙など、カラー絵になるとまた雰囲気がやや違うんですが、判断にはそちらで問題ありません。
なお、単行本にはえっちなシーンもありますが、どれも非常にソフトです。
気をつけて&ご安心下さい。

上でうっかり描き損ねましたが、オチがしっかり駄洒落になっている、鶴の恩返しな作品「つるつる」も良かったです。
ええっ!?前の方はこれでOKだったのに」、だって(笑)
そんな、妙なテンションの「鶴」さんが可笑しかったですよ。

水色ノート.jpg

水色ノート / タカハシ マコ

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■TheBLACK MAGES(おおとりりゅうじ)

★まんがデーター [7/15]
・絵   :■■□□□
・話   :■■□□□
・独創性:■■■□□
・属性 : 成年・猫耳
・おまけ: まえがき、あとがき、
      合間に作品解説、
      カバー裏に漫画・別絵、
・その他: 表題作ほか、短編2話、
      第一部ということで、未完です。

本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「おおとりりゅうじ」センセの「The BLACK MAGES」です。

うーん、ある程度博打っぽく購入したひでるさんですが、結果としては微妙。
こちら「The BLACK MAGES」はもともと「おおとりりゅうじ」センセが同人誌で出されていたのを編集し、1冊にまとめたものです。
こうした単行本はちょこょこ見かけますが、それが正解かどうかは置いといて。
とりあえず描き下ろし・修正部分はさほどないのか、完全にないのか、というところなようで、「単行本ならでは」という要素は非常に希薄。
…そんなんたから、既に同人誌で持っている方、読んだ方には微妙な内容。
メインの話もやたら中途半端に終わってしまいますし、成年漫画としてのえっち要素は弱く、また絵柄としても人を選ぶもの。
そんな理由から、一般の方もわざわざ手にする価値はなさそうです。
完全にファン向けな内容であるようですね。
せめて完結してないと、コレをわざわざ単行本として出す意味が薄れてしまうと思うんですが……もう後の祭りです(笑)

猫又さんとラシードさん.jpg
※猫又さんとラシードさん、です。
 ↓下に書いたような事情で大きく取り上げられません(笑)困ったもんです。

主人公の女の子は地球へ調査のため、精子集めにきた宇宙人「ラシード」さんと遭遇。
その驚きにより、うっかり屋上から落下して死んでしまうのです。
ほぼ即死状態だったところを、猫耳しっぽつきなロボットに意識を移植することでどうにか一命を取り留めることに成功。
女の子は姿そのまま「猫又」と名乗り、現地での協力者として生活することとなるのでした。
だいたいそんな導入。
”服を着ると気持ち悪くなる”という、成年漫画っぽい設定のヒロイン「猫又さん」
こないだ紹介した「たくらまかん展覧会/田倉まひろ」では、”痴女の国”の出身で全裸が当然で、服着ていることの方が恥ずかしい、ってありましたが、皆さま色々よく考えますね。
そんな訳で、全裸なまま闊歩しております。
なお、集めた精子の回収には触手うねうねで色々されてしまうという、予想通りな定番ネタでした。

そんなんですが、第一部という今回収録部分はキャラ出しと設定がメインで、全体的にえっち度は低め。
スケール大きな漫画にしたいのかもしれませんが、現段階ではがちゃがちゃと忙しくややこしい印象なだけで、読者はぽつんと取り残され気味。
もっと区切った方が正解なように感じます。
通常のコメディー部分もどうでしょう?
パロディーっぽいモノもあるようなので全て理解できればまた違うかもしれませんが、厳しい出来栄え。

短編二本.jpg
※左:短編「魔女の条件」、右:短編「ネコミミ放浪記」です。
 これらの内容は微妙。とりあえず強くはないです。

これで、いろいろ広がった挙句、あちこち未解決なままぷっつり終わっております。
正直なところ、そんなに興味を引かれるようなストーリーではないですね。
まぁ、この段階で良いかどうか判断はできませんけれど、小説も”書き出しが重要”とされてますから、その意味ではNG。
センセが楽しく描かれている雰囲気は伝わってきますけどね。
ついでに、続巻がいつ発売されるのかも非常に不安。

黒が強く、細かくごちゃごちゃっとした、昔懐かしい昭和っぽい雰囲気。
ほわわんとしたスタイルの、可愛らしいロリ人物絵柄が特徴です。
(※ただし、ロリキャラはおりません)
そんなに不安定でもないんですが、だんだん描き慣れていく様が伺えました。
ああ、雑っぽいところはありますけれど、下手ではないのでその点はご安心下さい。
とりあえず「おおとりりゅうじ」センセの絵は非常に独特なタッチですから、好みがきっちり二分されると思います。
猫耳・尻尾が好きなら多少いいかもしれませんが…。

The BLACK MAGESThe BLACK MAGES
(2007/05/22)
おおとり りゅうじ

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tag : コメディー

■HEAVEN (七瀬葵)

★まんがデーター [5/15]
・絵   :■■■■□
・話   :■□□□□
・独創性:□□□□□
・属性 : 神様・ラブコメ
・おまけ: キャラ設定画、カラーミニポスター。
・その他: 現在は1巻まで発売中。

本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「七瀬葵」センセの「HEAVEN 1巻」です。

昨日の記事にて、”明日こちらのブログでは吸血鬼漫画の第一人者「垣野内成美」センセの「レイスイーパー」を紹介する予定です”、とか書いていたひでるさん。
…いきなり裏切ってみました(笑)
いないとは思いますが、期待した方ごめんなさい。
予想できた方はおめでたう。

そんな訳で、ひでるさん的には「ぷちモン」がいい加減飽きてきた、「七瀬葵」センセの最新刊「HEAVEN 1巻」です。
↓表紙を見たときには、「エンジェル/ダスト」の続編かと思いましたが、違いましたね。

神霊界の二人.jpg
※そんな訳でヒロイン、神霊界の二人です。
 左が雷の民「ライカ」、右が風の民「フェイレン」です。

東京都内、浅草付近に住む高校生「七宮覇人(ななみや・はると)」くん。
彼は「もけの湯」の娘でお隣さんである「福山小桃」さんと浅草寺・雷門前から突然「神霊界(しんれいかい)」へと飛ばされてしまうのでした。
ここに出入りできる人間は”覇王のしるし”を持つ者だけ
ということで、「神霊界」にて出会った風の民「フェイレン」、雷の民「ライカ」らとの関係が始まるのでした。
まぁ、ごく簡単ですがそんなお話。

…しるしだって。「ドラクエ」みたい。
それにしても、空から女の子が落ちてくるってのは、そりゃーもうよくあるパターン。
パンチラで、お尻の下敷きになるところもそうですね。
わはははは。
こちらの1話ラスト付近はどうなったのかよく分からず、説明不足・ページ足らず。
そして次の日(2話目)
覚えの無いまま、三人同じ布団で寝ていたことに気付いた「覇人くん」が起きてびっくりするのよ。
ありゃりゃ、これまた随分マンネリ展開ですね。
その後、幼馴染みの「小桃さん」に発見されて攻撃くらうのも、そのまんま。

こうした、相手が人外で”何かしらの能力持っている娘さん”とのお色気ラブコメ、ってーのは、過去から無数にある定番ネタです。
それだけに、掴みからコレという個性を出さなければ、埋もれてしまうと思います。
…そうすると、こちらはすっかり土の中ですね。

家が全焼した後の展開もやったら強引で、すっかーと冷めました。
勝負事に発展する定番ネタも、どーでもいいや、ってな感じ。

フェイレンとライカ.jpg
※左:「フェイレンさん」との出会い、
 右:「ライカさん」との出会い、でした。どちらも頻繁に使われるネタ。

ちなみに、何故か会った直後からラブラブ状態の「フェイレンさん」
あっさりお風呂場へ入ってくるまではいいんですが、しっかりタオルを巻いているのが甚だ疑問(笑)
アピール足りないですねー。
(※実は恥ずかしいながら無理してた、ってフォローが後にありましたが)
また、この程度の中途半端なお色気ではひでるさんモノ足りず(←そりゃそうだ)

この1巻では、ほとんど出番を「フェイレンさん」に握られてしまったもう一人、雷の「ライカさん」
この娘さんも「雷」「女性」で連想される、そのままなキャラクターでした。
あれあれ、雷で「ライカ」って、何かうっすら覚えがあるような…?
……≪検索中≫……ああ、「ZyX」さんの「雷の戦士ライディ」ですか。
おしい、勘違いでした。
でも、「ライカ」って、カメラじゃなく名前でそんなんもあったような気もしたんですけれど…まぁいいか。

まるで金太郎飴のような、使い古したフォーマットの連続に思わず脱力な単行本。
こうした漫画の第一人者「まりお金田」センセみたいです。
お色気もそれなりですし、ギャグもはっちゃけ足らずの中途半端。
ラブコメとしても、現在のところ惹かれる要素はゼロ。
残念ながら、見る価値ありませんでした。
毎度の文句ですが、センセ、およびファンの方、もしいらしてたらごめんなさい。

涼しげな線のすっきりとした絵柄。
縦長の目と下線を描かない口、すらりと細いプロポーションが特徴です。
ゲーム原画やイラストでも仕事されているだけあって、見栄えのいい人物絵。
ただ、漫画の白黒絵になると、平たい印象がありました。
大きく苦手な人はいないでしょうけれど、人を選ぶ、好き嫌いある雰囲気かもしれません。

長々書いてきましたが、絵がいくら良くても話がこの程度ではどうにもならず。
とりあえずコレクターとして、続きを買うかどうか微妙な線です。
ファンならいいでしょうけれど、それ以外の方は見送りをオススメ。

HEAVEN.jpg

HEAVEN 1 (1) / 七瀬 葵

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■たくらまかん展覧会 (田倉まひろ)

★まんがデーター [15/15]
・絵   :■■■■■
・話   :■■■■■
・独創性:■■■■■
・属性 : 成年・コメディー
・おまけ: カバー裏にあとがき・別絵、作品解説、
      描き下ろし「後日談」×3。
・その他: 初単行本、カラー(6P)、短編×8。

本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「田倉まひろ」センセの「たくらまかん展覧会」です。

これは…久しぶりに、ホントに何年かに一度という、衝撃的な単行本でした
正直なところ、購入時には進むか見送るか迷ったんですけれど、手にして正解。
まさに本との出会いは一期一会です。
漫画の神様に…感謝

そんな「たくらまかん展覧会」は「田倉まひろ」センセのHPと同名の初単行本。
全て短編という構成で、描き下ろしの後日談など、おまけも豊富でした。
好き嫌いは大きく分かれるでしょうが、読むだけでも可笑しく楽しい、珍しい良作品です。

ちなつさん.jpg
※ボーイッシュな「ちなつさん」です。
 やたら良いパンチですね。痛そう。

単行本を読んでいたひでるさんが”度肝を抜かれた”、単行本カバー裏にも登場する「ばっちゃのねこ」
心優しいおばあさんに飼われていた、子猫の「ネーデルラン」ちゃん。
体が弱く、寝たきりだったおばあさんに元気になってもらうため、「ネーデルラン・ちゃん」は自らの身体でお金を稼ぐこととするのでした。
導入はそんなお話。
擬人化された「ネーデルラン・ちゃん」はよくある猫耳少女。
褐色な肌も、好きな方にはポイント高い点でしょう。
物語ラスト前まではホロリともくる、泣かせる展開だったんですが…わずか3ページで一度だけでなく、二度もひっくり返されました。
思わず息するのも忘れてしまいそうな、衝撃の結末が待っています
いやー、色々な意味で、ものスゴイ漫画でした。
優しく心温まる話だったのに…見事なまでのブッ壊し方ですね。
こちらの漫画だけで、センセの評価が一変しました。
コメディーが好きな方なら絶対にオススメです。いいものはいい。

甘いラブコメの「すきスキSCREAM SHOW」
主人公「ちなつ」さんは幼馴染みの「トシハル」くんに毎朝「結婚しよう」というような挨拶をされ続け、照れもあって冷たく当たっておりました。
そんな時、落ち着いた雰囲気の先輩に備品の片付けを手伝うように言われ、二人っきりになるんですが…。
激しく怒りを爆発させ、泣いてしまうボーイッシュな「ちなつさん」が良いキャラでした。
本人が自覚しているように、ツリ目でぼさぼさっとした髪は確かに女の子っぽくない容姿ですが、ちゃんと可愛らしく描かれておりました。
スパッツなところも正解だと思います。
そんなん好きな方はよりいいでしょう。

創士塚お嬢様とゆづさん.jpg
※左:「創士塚お嬢様」、右:「ゆづさん」です。
 ↓表紙に登場する「ゆづさん」は黒ストッキッングが良かったですよ。

実に個性的な「偉大なる第一歩」は吸血鬼が登場するファンタジー
ちなみに全然関係ないですが、明日こちらのブログでは吸血鬼漫画の第一人者「垣野内成美」センセの「レイスイーパー」を紹介する予定です。…ちょっとCMでした。
トレージャーハンターの主人公は観光に訪れた古城の隠し部屋にて少女の姿をした吸血鬼を発見。
しかし、うっかり目を離した隙に目覚めた「クローエ・キュルテン・パイパー」に咬まれ、完全に覚醒させてしまうのでした。
なーんて導入がウソのような、だらりとしたのんき漫画。
半開きの目をした「クローエちゃん」は独特な間をもった、とぼけた吸血鬼娘。
お茶を飲んだ後の「Bitter!」という反応など、その言動がいちいちおもしろ・かわいかったです。
えっち最中でも、あちこちのタイミングで咬まれてしまう(笑)のが厄介ですね。
弱気でいぢめられてしまうような吸血鬼が出てくるのは…「蘭宮涼」センセでしたっけ?「マーシーラビット」センセでしたっけ?
そんなんなら、えっちに持ち込む成年漫画の王道で過去に何度か見ましたが、こんなんはめったにありません。
続きどうの、ってあとがきにもありましたから、ぜひ続編を描いてほしい漫画です。

クローエちゃん.jpg
※こちらが吸血鬼「クローエ・キュルテン・パイパー」
 とにかくとぼけた娘さんですよ。

全裸が当たり前な”痴女の国”という設定が見事で、オチも良かった「Open Succsess」、ツンデレでロール髪という典型的お嬢様「創士塚」さんの「お嬢様3分クッキング」、表紙を飾った、無口で無表情無愛想な「信藤ゆづ」さんの「三白眼の彼女」など、他ではなかなか見られない、成年コメディーな短編の数々が実に良かったです。
また、それぞれ登場するキャラも短編ながら個性が際立っており、どちらのエピソードも長く読みたくなる、魅力的なものでした。
次の単行本も待ち遠しいですね!

お話同様、大変個性が強い作画です。
黒が強い線のはっきりとした絵柄。
これが初単行本とのことですが、ご自身のカラーが出せている安定した作画でした。
縦横に大きく丸い目と、ばっさり髪、そして何かと大仰な表現が特徴。
いかにもロリっぽい人物絵なんですが、そればっかりでもないのでご安心下さい。
ほとんど↓表紙そのままなので、そちらの判断で大丈夫です。
人は選ぶと思いますので、注意して下さい。
(※裏表紙右下のコメディー絵が受け入れられれば問題ないと思います。ひでるさんはソコが決め手でした)

たくらまかん展覧会.jpg

たくらまかん展覧会 / 田倉 まひろ

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